本紹介③
どうも
最近歴史小説読むのにハマり出しました。
数ヶ月おきくらいにハマりの波が来るのですが今がその時でした。
昔は歴史小説というと司馬遼太郎が一番人気かつ認知度も高かったのかもしれないですが、最近は本当にいろんな作風の作家さんがいてまさに群雄割拠の様相を見せています。
そういうわけで今日はこの本を紹介します。
誰が主人公かというと、本のタイトルにあるように長宗我部元親になります。
四国にお住いの方、特に高知県に住んでいる方は聞いたことがある名前かと思います。
戦国時代の長宗我部家の当主であり、最終的には四国全土を統一する直前まで上り詰める方です。
また、幼少の頃は大人しく武芸を磨かなかったために姫若子と呼ばれるも、初陣でいきなり首をいくつも上げるという猛将の一面を見せたことから土佐の出来人の異名を取った、という逸話も残っています。
この小説では彼の四男で跡取りであり、大阪夏の陣で豊臣方についた長宗我部盛親が、元親の代から長宗我部に仕えてきた家臣、久武親直に元親とはどのような人間だったのか、元親生存中に起きた事件や出来事の真相は何だったのかを問答する形式で話が進んで行きます。
この久武親直という武将も、実在の人物ではありますが後世の評価がよろしくありません。
元親の側近として辣腕を振るうも、自身に反対する派閥の粛清を行い、最終的には長宗我部家が潰れるきっかけを作った、と言われているからです。
ですがこの小説では、親直のことを、主君のためならどんなに汚い事でもやり遂げる、ある種の忠臣として描いています。
このような、後世評価の低い人物を別の解釈で描けるというのはまさに小説の醍醐味だなと思います。
この天野純希さんの作品では、明るく快活な人物が権力や力を手に入れて闇落ちしていく様が描かれることも多いのですが、この小説ではむしろ彼の家族に関する不幸が、どのように晩年の元親に影響を与えたのかを描いています。
現代的、と言ってしまうと陳腐なイメージが出てしまうかもしれないのですが、人間味のある長宗我部元親が描かれており、そのおかげで彼の身の回りの人物の人柄も良く伝わって来る内容になっています。
何か面白い歴史小説がないかな〜とお悩みの方は是非天野さんの著作、ひいてはこの作品を手にとってもらえればと思います。
おわり